新卒で採用されないまま卒業すると、既卒となります。
既卒となると新卒の就活とは異なり、条件が変わります。
そのため、新卒で就職先が決まらなかった人は卒業せずに、就職留年・浪人して大学に残る人もいるくらいです。
既卒は新卒のときほどの選択肢はありませんが、コツを押さえることで、就職をすることはできます。
ここでは、既卒の就活を成功させるための方法を解説します。
目次
既卒とは?意味と定義
既卒に明確な定義はありませんが、おもにこのような人を指します。
- 大学や専門学校、高校などをすでに卒業した人
- 正社員や契約社員として、会社で働いた経験がない人
大学を卒業して、アルバイトをしているような人も含みます。
新卒・第二新卒との違い
新卒は大学に在学中で、大学の卒業とともに、会社に就職しようとする人を指します。
第二新卒とは、大学卒業後に社会人として働いた経験のある人で、社会人経験が3年以内の人を指します。
企業から見た既卒とは?
既卒の人を採用する理由
企業の人が既卒を採用するのは、このような理由です。
- 新卒で採用しきれなかった人材を採用するため
- 新卒の人の離職に備えたり、離職したりした分を補充するため
採用する目的は、新卒採用とほとんど変わりません。
既卒の人の採用動向
政府の調査
厚生労働省の実施する労働経済動向調査で、既卒者に関する内容がありました。
- 事業所で新卒枠の採用を行った事業所の割合が62%
- 既卒者が新卒枠で応募できた事業所の割合は、全産業で43%で、そのうち採用にいたったのが47%
- 卒業後の経過期間に上限がある事業所が37%で、そのうち卒業後3年以内としている事業所が93%
これを見る限り、半分近くが新卒として応募でき、さらに採用されたが約半数程度となっています。
卒業後の期間を設けている会社は3年以内を限度としていることがほとんどのようです。
つまり、卒業後3年以内であれば、応募可能な会社が一定数あり、実際に採用されている人たちもいるということです。
既卒の人がネガティブに見られる理由
既卒がネガティブに見られることは多いです。
これは学歴と就活の関係性にも近いです。
ただ、多くの会社ではたくさんの応募が来るので、1人1人を厳密に検討するのはなかなか難しいです。
そうなると、「学歴が高い人の方が優秀だろう」とラベリングをして考える人たちがいます。
実際には、学歴が高くても低くても優秀な人は優秀ですし、イマイチな人はイマイチです。
既卒の場合にも、「既卒ということはなにか問題があるのではないか」とラベリングをして考える人がいます。
実施にはたまたま就職活動の時期に留学していたり、単純にほとんど就職活動をしていなかったり、内定取り消しをされたり、状況は個人ごとに大きく異なります。
既卒の人をどう見られるか?
既卒の人が見られるポイントは基本的には新卒の人と同じです。
会社とマッチするか、ポテンシャルがあるか、一緒に働けそうかといったことです。
加えて、既卒の人の場合には、上記の「なにが問題があるのではないか」ということをうまく説明できる必要があります。
求職者から見た既卒とは?
既卒は終わりではない
既卒が不利なのは事実です。
それがいいことかは別として、既卒というだけで新卒としての選考に進めない会社があるからです。
一方で、既卒を悲観しすぎて、行動が疎かになっている人もいます。
マイナビの調査によると、既卒者と現役学生では、内定率も違いますが、そもそもエントリーが少ないようです。
- 現役学生
- エントリー:30.1社
- 面接受験者:9.0社
- 内定率:82.7%
- 既卒者
- エントリー:22.1社
- 面接受験者:6.4社
- 内定率:43.2%
現役学生以上に、行動量を増やすことも重要なポイントです。
就職留年か既卒か?
就職活動で内定をもらえなかった場合には、大学に残る選択肢とそのまま卒業する選択肢があります。
大学に残る場合には、授業料がかかる場合がほとんどです。
大学によって金額は本当にさまざまで、休学や就職浪人用に安く設定されている大学もあります。
もし、この授業料がネックにならないのであれば、現状の日本の制度では、大学に残って翌年の新卒採用を受ける方がメリットは多いです。
IT企業やベンチャーなどは気にしないところも多いですが、融通が利かない企業も多いです。
また、留年の方が理由が説明しやすいですし、ネガティブになる可能性が低いです。
あなたの目指している業界や企業も含めて、検討しましょう。
既卒就職の成功ポイント
ここからは既卒就職を成功させるポイントを見ていきます。
既卒という事実をフラットに見る
既卒を楽観も悲観もしないで、フラットに事実を見ることが重要です。
- 既卒というだけで、新卒として受けられない企業もある
- 既卒でも新卒同様に採用試験が受けられる会社もある
- 既卒者の方が内定率は低い
- 既卒者の方がエントリー企業数が少ない傾向にある
こういった事実を淡々と認識しましょう。
不利だけど、選択肢はたくさんあります。
自己分析・反省をする
すでに就職活動のときにしている人もいるかもしれません。
あらためて、自分のやりたいことや志望業界なども考えましょう。
志望を狭めない
よくあるパターンは、志望業界や企業を絞りすぎていることです。
既卒であれば、なおさら幅広く検討するようにしましょう。
就職活動を反省する
もう1つは、就職活動の反省をしっかりしておくことです。
自分での振り返りも重要ですが、可能なら社会人の先輩だったり、人事関係者だったりとも話しておくのがいいでしょう。
自分では気づかないことを指摘してもらえる可能性があります。
求人探しを工夫する
既卒では求人探しも工夫しましょう。
既卒案件を調べる
リクナビやリクナビNEXTで「既卒」などで検索をするとたくさん出てきます。
新卒採用では既卒を受け付けていなかったり、中途採用では経験者のみということもあるので、明確に既卒OKの求人を受けていくのがポイントです。
エージェントに相談する
既卒の人向けに就活をサポートするエージェントがあります。
上でも見たように、既卒の内定率は半分以下になっています。
少しでも成功確率を上げるために自分の力だけでなく、サポートを得ることが重要です。
こうしたエージェントは、既卒採用に積極的な会社と連携していますし、選考の対策に関してもプロです。
マイナビジョブ20’s、ワークポート、ハタラクティブなどを活用しましょう。
担当者によって、サポートの質はさまざまです。
複数のエージェントと話したうえで、一番よさそうな人と連絡を取っていくのがおすすめです。
書類対策をしっかりする
書類の対策は新卒のときと変わりませんが、時間があるので、再度チェックしましょう。
自分で確認するだけでなく、ほかの人にも見てもらうことが重要です。
面接対策をしっかりする
面接対策はかなり重要です。
就職活動で一定数の会社を受けたうえで、内定が獲得できなかった人は万全に対策をしましょう。
新卒や既卒の就職活動で重要なのはポテンシャルです。
ただ、ほとんど判断材料がないため、実際にはパッと見た印象や話し方、質問に対する準備のような基本的な内容で選考されます。
これはトレーニングが可能で、対策をすることで飛躍的によくなります。
たとえば、このようなものはかなり典型的な質問ですが、うまく答えられない人もいます。
- 志望動機は?なぜ他の会社ではないのか?
- 自己PR
- なぜ就職活動をしなかったのか? なぜ内定が出なかったのか?
転職エージェント、ハローワーク、出身大学のキャリアセンター、知り合いの人事でもだれでもいいので、徹底的に練習しましょう。
評判をチェックする
既卒OKな会社のパターン2つ
既卒でもOKという会社には、2パターンあります。
1つは、既卒であっても優秀な人はいるので、フラットに見てみたいという会社です。
もう1つは、離職率が高く、既卒でも誰でもいいので、人が足りないから採用したいという会社です。
どちらの会社を受けるべきかはわかるかと思います。
社会人経験がない中で、自力でこうした会社を見分けるのは困難です。
口コミサイトをチェックする
有効な方法としては、Vorkersや転職会議などの口コミサイトをチェックすることです。
大量採用の企業であれば、ここでの評価を見ればだいたいわかります。
慣れると、サクラのコメントや信ぴょう性の低い情報もわかります。
有名だから安心ではない
ちなみに、上場企業だから、有名企業だから安心というわけではありません。
上場企業でも新卒が半年で半分になるような会社はざらにあります。
面倒でも、ちゃんと個別企業をチェックするのが重要です。
他人の力を借りる
就職活動をすべて自分の力だけで進めるのは大変です。
ただでさえ、やることがたくさんあります。
- 自己分析
- 求人探し
- 書類対策
- 面接対策
自己分析はあくまでも自分の仕事ですが、求人探しに書類対策、面接対策をしていると多大な時間と労力がかかります。
また、既卒となると、ただでさえ不安は大きいでしょう。
友人や家族に相談するのもいいですが、彼らは就活・転職のプロではありません。
エージェントに相談する
エージェントに相談をして、プロのアドバイスを受けることで、成功確率は大きく上がります。
僕自身も転職活動のときには必ず、エージェントに相談しています。
それは、彼らしか持っていない情報や彼らしかサポートできないことがたくさんあることを知っているからです。
たとえばこのようなものです。
- 就職・転職の進め方
- 該当業界・業種の求人状況
- 自分の市場価値・アピールポイント
- 自分の希望に合った求人
- 行きたい会社に内定する可能性
- 選考書類の書き方・チェック
- 面接対策のアドバイス
こうしたアドバイスは就職活動でも同じく有効です。
プロから無料でアドバイスをもらえる機会を捨てるのはあまりにもったいないですよね?
質の低いエージェントを見分ける
1つだけ注意が必要なのは、社会人経験がない場合には、とにかく入社させようとするような質の悪いエージェントを見分けるのが難しいかもしれません。
対策をいくつかご紹介します。
- 複数のエージェントに相談し、比較する
- 実際に紹介された求人を口コミサイトなどでダブルチェックする
- 自分の将来のことを考えているか、とにかく入社させようとしているかを考える
- 書類や面接に対するアドバイスをもらい、的確かどうか判断する
- 自分の質問に真摯に答えてくれるかをみる
このように、自分でもチェックすれば、よりよいエージェントに出会える可能性が上がります。
おすすめのエージェント
就職活動の成功確率を少しでも上げるために、エージェントに必ず相談しましょう。
既卒の人をサポートするエージェントは限られています。
その中でもおすすめできるエージェントをご紹介します。
さらに知っておきたいこと
ここでは、既卒者の就職活動を成功させる方法を見てきました。
過度に楽観的になる必要も悲観的になる必要もありません。
しっかりとポイントを押さえることで、成功は可能です。
ほかにも既卒キャリアに関する記事がありますので、こちらもどうぞ。