電子書籍で埋められない縮小するマーケット。出版業界はどう変わるのか

出版社は救わないが、漫画家を救う可能性がある電子書籍

以前、知り合いの勧めで「ナナのリテラシー」という本を読んだ。電子書籍が少しずつ普及していく中で、その出版社と漫画家への影響を描いている本で漫画家が書いている。当たり前だが、リアルな数字と出版と漫画家の実態が興味深く、描写されている。ここでの興味深い指摘は電子書籍は出版社を救わないが、漫画家は救う(可能性がある)という話だった。

要は紙の本に比べると現状、5%程度の電子書籍が紙の本の落ち込みをカバーすることが無いため、今までのような形での出版社の形は維持できない</span>。もちろん、漫画家もマーケットが縮小することで痛手を被るが、電子出版など自らが出版することで生き残れる可能性があるということである。出版業界が過渡期にあるのは確かだと思うし、個人的には卒論で取り上げたくらい興味があるので調べてみた。

1.雑誌の落ち込みの大きい出版市場

以前から若者の活字離れと若者がいかに本を読まないかを指摘されているが、出版業界自体が1996年2.65兆円のピーク以来、縮小し続けている。2013年には1.68兆円と6割程度になってしまっている。書籍は1.09兆円から0.78兆円と約30%の減少の一方、雑誌が特に酷く、ピークの1.56兆円から0.89兆円とこちらは約40%減少してしまっている。雑誌で得られるようなタイムリーでカジュアルな情報はネットで代替されてしまったのだろう。

f:id:mohipeasuke:20150827232549p:plain

(出典:visualizing info)

2.コミック誌が落ち込む漫画市場

こちらもコミック誌(いわゆるジャンプとか)の落ち込みが大きく、ピークの1995年の3,300億から2012年の1,600億と半分以下になってしまっている。コミックス(単行本)は比較的安定しており、ピーク時の2,500億から2,200億と15%程度の縮小に留まる。

f:id:mohipeasuke:20150827232804p:plain

(出典:visualizing info)

3.伸び悩む電子書籍市場

ここ10年程度、毎年のように電子書籍元年と言われつつも、マーケットがなかなか伸びない状態が続いている。ここ数年までは電子書籍ガラケーにおけるものであり、そのコンテンツの多くは漫画、その中でもBL(ボーイズラブ)やTL(ティーンズラブ)と言われるような一般からは少し離れたコンテンツのものがほとんどであった。それがやっと2012年度にガラケーの落ち込みも受け、KindleKobo等のより一般的な電子書籍の市場の方が大きくなった。ここからの5年間で現状の729億円から2,400億と約3倍になる予測のようだが、実際のところどうなるかは謎。

f:id:mohipeasuke:20150827232950p:plain

電子書籍の海外事情

ちなみに、アメリカでは下記リンクによると2013Q1の電子書籍比率は書籍全体26.7%となっている。とはいえ、成長率は5%に留まり、電子化は一段落しているような状態に見える。US eBook Market Grew by 5% in Q1 2013, AAP Reports | The Digital Reader

よく日本は海外に比べて、電子化が進んでいないと言われるが、PWCのデータを見る限り、アメリカだけが特別に見える。ちょっと調べてもヨーロッパは電子書籍付加価値税が高いとか○○人は電子書籍を読まないとか出版社が・・とかどこも日本と同じような状態になっている。http://paidcontent.org/2012/06/12/what-will-the-global-e-book-market-look-like-by-2016/

まとめ

・出版市場は縮小しており、ピーク時の6割程度で特に雑誌での落ち込みが痛い。
・漫画市場も縮小しているが、単行本の安定により、ピーク時の7割程度をキープ。
電子書籍は伸びているが、出版全体の5%に留まり、今のところ成長率もさほど高くない。
・海外においてもアメリカの26.7%を除くと他国では紙に比べるとほとんど普及していない。

 

Mohi@Day10

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です