社会人10年目は大卒ストレートの人で32歳前後です。
30代前半で、実績や経験を活かしながらステップアップする転職がしやすい時期です。
35歳を超えて30代後半になると、採用されるポジションも変わってくるので、選択肢も限定されてきます。
ここでは、社会人10年目前後の転職に関して、個人的経験を踏まえながら見ていきます。
社会人10年目の転職の基本3つ
1.30代のマッチングは難しくなる
30代からいきなり変わるというわけではありませんが、年齢が上がるほど転職ハードルは高くなります。
- 年齢が上がるほど企業側の要求スキルが上がる
- 給料や役職などの求職者側の要求する条件も上がる
- 専門的な仕事やマネジメント職など、ポジションの絶対数が減っていく
総じていえるのは、20代のときはあまり考えなくても転職は可能です。
30代以降になると、それなりに考えたり、工夫したりしないと難しくなります。
2.即戦力としての扱いを受ける
そもそも中途採用は、即戦力として期待されますが、30代からはその側面が強くなります。
32歳はポテンシャルも多少見られますが、即戦力かどうかが重視されます。
自分の職場に32歳で完全な未経験者が入ってくることはあまりないですよね?
30代の転職は、実績・経験・スキルなどがないと難しくなります。
さらに、30代後半になるとより高い実績・経験やマネジメント能力などが求められるようになります。
3.ポテンシャルのロスタイム
上の例は、順調にスキルを獲得した例です。
このように、30代前半にポテンシャルは大きく下がります。
35歳以降は、ほとんどポテンシャルは考慮されずに、自分の持つ能力だけで評価されます。
30代前半はポテンシャルが考慮される最後のタイミングです。
未経験転職や環境ががらっと変わる転職は少しでも早い方が良いです。
社会人10年目の転職で考える4つのこと
1.転職のメリットを知っておく
30代前半は選択肢が多い
一般的に年齢が上がるほど、選択肢は減っていきます。このようなイメージです。
年齢の転職への影響
- 新卒(ポテンシャル超重視)
- 既卒・第二新卒(ポテンシャル重視)
- 30歳未満まで(専門性も考慮、未経験はここまで)
- 35歳未満まで(高い専門性が必須、マネジメントも考慮)
- 35歳以上(高い専門性やマネジメントが必須)
完全な未経験は難しいですが、これまでの経験を活かした転職は間口が広いです。
35歳になると、経験・スキルがある人でもマッチングがさらに厳しくなります。
活躍できる可能性
長く働くとわかってきますが、「ある環境で成果を出せることと、別の環境で成果を出せること」はかなり違います。
同じ営業職でも、前の職場でイマイチだった人が、次の職場で大活躍することは珍しくありません。
逆もよくあります。たまたま最初の仕事が自分に合わなくても、転職して格段によくなることもあります。
経験地を増やして、自分に合った仕事がわかる
就職活動でも自己分析をするかと思います。
ただ、そこでの分析対象はそれまでの人生であって、仕事をしないとわからないことはたくさんあります。
たとえば、以下のどちらがいいかは、実際にやってみると簡単にわかります。
- 黙々と仕事をする、チームで仕事をする
- 定型的な仕事、クリエイティブな仕事
- 数字で成果がわかる仕事、成果がわかりづらい仕事
- 大企業の専門的な仕事、中小企業での幅広い仕事
- 日系企業でのウェットな関係、外資系企業でのドライな関係
自分の仕事の向き・不向きや好き・嫌いはある程度の業務経験がないとわからないです。
10年も働いたころにはだいぶわかってくると思うので、自分に合った職場も見つけやすくなります。
2.転職のリスクを知っておく
選択肢が減っていく
転職回数が増えると、転職はどんどん難しくなります。下のようなイメージです。
転職回数の影響
- 転職回数
- 2回まで(多くの会社で問題なし)
- 3回以上(一部の会社で選考に通りにくくなる)
- 転職回数に対する年齢
- 20代で2回まで(多くの会社で問題なし)
- 30代で4回まで(一部の会社で選考に通りにくくなる)
- それ以上(多くの会社でネガティブに取られる)
会社によっても違いますが、転職回数が2回を超えてくると、気にする会社が多いです。
面接で理由が説明できればネガティブにならないところもあれば、3回以上は問答無用で落とすところもあります。
一方で、在籍期間が長くなると、年齢が上がるデメリットもあります。ここのバランスはしっかり考えましょう。
今よりも悪くなる可能性がある
認識しておきたいのは、転職は変化するというだけであって、それがいい変化とは限りません。
十分に気をつければ転職の失敗は防げますが、一切リスクがなくなるわけではありません。
とくに、今の職場に強い不満があって早く辞めたかったり、先に退職してしまったりするケースは注意が必要です。
焦りから自己分析や企業研究が甘くなってミスマッチが起きやすいです。
3.異動などの転職以外の方法もある
転職は万能な方法でも、唯一の方法でもありません。
会社にどうしても合わないという場合には仕方がありませんが、それ以外の場合には対処方法がほかにあるかもしれません。
いくつか社内でできる解決策をご紹介します。
仕事が合わない
- 上司(やその上司)、人事に相談することで、より合った仕事につける可能性がある
- 同じ部長や役員が干渉している場合には異動しやすいことも
上司が合わない
- 上司のさらに上司に伝えれば、変えてもらえる可能性も十分にある
- 社風やマネジメント方針が合わない場合には難しい
雰囲気が合わない
- 大企業の場合には、部署・部門が違うとまったく雰囲気が異なることも
- 人事などに伝える方法もあり
そこまで会社に不満がない場合には、副業でやるといった選択肢もあります。
4.転職力を高める
転職には専用の対策が必要です。
会社で仕事をすると、さまざまなビジネススキルが身につきます。
ただ、仕事で身につく能力と、転職で求人を探したり、自分をアピールしたりする能力は別物です。
書類や面接には押さえるべきポイントがあり、対策によって通過率を上げられます。
とくに若いときは以下の2つの理由から転職対策によって大きく差をつけられるチャンスです。
- ポテンシャルの評価比重が大きい
- 周りの人もあまり対策ができていない
転職の対策が甘い人も多いので、対策をするだけで有利に転職を進めることができます。
転職をするための能力を上げることが重要です。
転職の5つのポイント
ここからは転職活動のポイントをプロセスごとに見ていきます。
転職活動のプロセスは大きく5つあります。
- 自己分析をする
- 求人探しをする
- 選考書類を送る
- 面接を受ける
- 内定をもらい、退職する
就職活動を経験している人も多いかと思うので、イメージが掴めると思います。
注意点を中心にそれぞれを見ていきます。
1.自己分析をする
就職活動のときにしっかりしたという方も改めてやりましょう。
退職理由を明確にする
退職理由は面接でも必ず聞かれますし、自分が働いてみたうえでの気づきを考える上で有効です。
転職を考えるということは、多かれ少なかれ不満があるということです。
よくある不満はこのようなものです。
- 業務内容
- 給料や福利厚生
- 労働条件(残業・休日出勤なども)
- 社風、労働環境
- 人間関係
- 会社や職種の将来性
不満だけでなく、満足したことも必ず押さえておきます。
満足した点を見逃していて、次の会社ではそれが退職してしまうといったこともあります。
自分の価値観を考えるきっかけにもなります。
自分の価値観を明確にする
転職理由を考える過程で気づく部分もあると思いますが、自分がどのようなことを大切にするのかは考えましょう。
譲れないものをいくつか考えておくことが重要です。
仕事は物件探しと同じなので、あなたの要求すべてを満たすことは困難です。
もっとも重要な1つか、2つ程度を明確にしましょう。
自分の将来を考える
価値観だけで進めると、直近は大丈夫ですが、将来的なキャリアの選択肢が減ってしまうことがあります。
自分の将来に関しても考えておきましょう。非常に具体的なものでなく、方向性でも大丈夫です。
ロールモデルを探したり、ひたすらやりたいことを書き出したり、考え方はいろいろあります。
詳しくはほかの記事でも説明しています。
2.求人探しをする
求人探しのサービスはたくさんあります。
まずは転職サイトを活用しましょう。新卒のときにもリクナビやマイナビなどを活用したかと思います。
転職のときにも、リクナビNEXTは必ず登録しておきましょう。
ほかにも活用できるサービスが多数あります。
スカウト系のサービス
自分から探す方法だけでなく、登録しておいて連絡を待つ方法もあります。
- 自分の市場価値がわかり、スカウトも送られるミイダス
登録すると、こんな感じで想定年収が出て、企業からスカウトも来るのでなかなか使い勝手がいいです。
公式サイト:https://miidas.jp/
転職エージェントの提案
新卒のときには自力で探す人も多いですが、転職では転職エージェントが非常に有効です。
あなたの代わりに、あなたにマッチした求人を紹介してくれます。
- あなたが自分で気づいていないような仕事
- 表には出ない非公開案件
もあるのがメリットです。
リクルートエージェントやパソナキャリアやなどの転職エージェントもぜひ活用しましょう。
3.書類対策をする
選考書類ですが、転職では新卒のときのような変わったエントリーシートや質問が用意されることはありません。
- 履歴書
- 職務経歴書
の2点でだいたいどの企業も書類選考されます。
職務経歴書は超重要
履歴書はアルバイトや就活でも書くかと思いますが、職務経歴書ははじめて書く人もいるでしょう。
職務経歴書は経験した仕事の詳細を書くもので、履歴書以上に重要な書類です。
履歴書ほどフォーマットが決まっていないため、差がつきやすい書類でもあります。
書類はチェックしてもらう
自力で書くのもいいですが、転職エージェントでチェックしてもらった方がいいです。
パソナキャリアは選考書類対策にも力を入れていて、おすすめです。
書き方のポイント
このサイトでも別記事で書き方を解説しています。
ただ、これはあくまでも基本的な書き方であって、ベストな書き方はその人の学歴や職歴によっても違います。
パソナキャリアやリクルートエージェントなどの転職エージェントで見てもらう方がいいでしょう。
4.面接対策をする
選考対策の中でも面接は非常に重要なパートです。
とくに、ポテンシャルは面接で見られます。
自分も若手の採用を担当しましたが、書類でわからない部分は多いので、悩ましい場合には面接に呼びます。
多くの人にチャンスがありますが、面接でのコミュニケーションはかなり差があります。
たとえば、このようなものは典型的な質問ですが、うまく答えられない人もいます。
- なぜ退職したのか・転職を考えたのか?
- 志望動機は? なぜ他の会社ではないのか?
- 自己PR
退職理由⇒志望動機⇒自己PRをちゃんと説明できるだけでも印象はまったく違います。
ちょっとした対策でかなりよくなりますので、可能なら実践練習もしましょう。
このプロセスを軽視している人は多く、かなりもったいないです。
転職エージェント、ハローワーク、出身大学のキャリアセンター、知り合いの人事でもだれでもいいので練習しましょう。
転職エージェントは必ず利用したい
このように、転職はかなり多くの注意点があります。
すべてを押さえようとすると、時間がいくらあっても足りません。
プロから無料で求人探し、書類対策、面接対策をもらえる機会は必ず活かしましょう。
転職というのは、多くの人は数回しか経験しないものです。
一方で、彼らは毎日のように転職を考えている人と会い、その人たちをサポートしています。
経験地がまったく違います。転職全体に関して、以下のようなサポートが受けられます。
- 転職の進め方のアドバイス
- 該当業界・業種の求人状況
- 自分の希望に合った求人提案
- 行きたい会社に内定する可能性
- 書類・面接対策のアドバイス
あなたが自分だけで考えるよりも、はるかに効率的です。
一番のリスクは意思決定を伸ばした結果、手遅れになってしまうことです。
転職は成功確率を少しでも上げるために、転職エージェントに必ず相談しましょう。
転職エージェントは、大手の総合型エージェントに相談しましょう。
求人数も多く、サポートの質も安定している会社がこちらです。
リクルートエージェント
公式サイト:https://www.r-agent.com/
- 国内最大級、10万件超えの求人数
- 転職実績も国内最大水準
- 担当アドバイザーが優秀
リクルートエージェントは間違いのないエージェントの1つです。
求人数は国内最高水準で、実際に転職している人数も最高レベルです。
土日も面談対応していますし、エージェントの人も優秀で、話が早いです。
どんな人でも登録してまず間違いないエージェントです。
パソナキャリア
公式サイト:https://www.pasonacareer.jp/
- サポートが評判になるレベル
- はじめての転職、女性の転職にも強い
- ほかでは不利になる人でも大丈夫
パソナキャリアは大手の中でもサポートが抜群にいいです。
パソナキャリアは創業時からはじめての転職や女性の転職支援に力を入れています。
あらゆる人に手厚いサポートを提供しているということです。
求人数が多い中で、サポート体制が優れているという万人に勧められるエージェントです。
5.内定をもらい、退職する
内定をもらった後の注意点は2つです。
本当に入社して大丈夫かを再確認する
せっかく内定をもらったら、入社前に会社のことを改めて確認しましょう。
1つは、できるだけ多くの人に会わせてもらうことです。
不安に思っていることを聞きましょう。
もう1つは、オンラインで評判を確認する方法です。
検索エンジンで「会社+評判」で検索したり、Vorkersや転職会議などの口コミサイトを使ったりしましょう。
ある程度有名な企業であれば、情報は手に入りますし、比較することも可能です。
自分の感覚だけで決めてしまい、入社後に気づくようなことは絶対に避けましょう。
しっかりと退職する
基本的には、内定をもらった後に上司に伝えるだけです。
「ご相談したいことがありますので、お時間をいただけますか」などと伝えて、MTGルームなどで伝えるのが一般的です。
その後は、退職交渉が入ったり、スケジュールを調整したり、書類を提出したりなどがあります。
初回はよくわからないかもしれませんが、退職者はどの会社もいるのでプロセスはだいたい決まっています。
さらに知りたい方は別記事もありますので、こちらもどうぞ。
よくある疑問
30代前半の女性転職で気をつけることはありますか?
女性の場合には、自分のプライベートとのバランスが大事です。
女性の半分は30歳までに結婚しますし、20代後半から30代前半までに出産する人も多いです。
結婚や出産のタイミングで退職してブランクが空くと再就職がなかなか大変です。
転職直後に、産休・育休となると大変なので、プライベートが落ち着いているときに転職するのがポイントです。
女性の転職に関しては別記事でも説明していますので、こちらもどうぞ。
社会人10年目の高卒でも転職は可能ですか?
可能です。
高卒で就職している場合には、社会人経験が12年以上あるかと思います。
今までの職歴を踏まえて、今後のキャリアを考慮した方がいいです。
このタイミングであれば、未経験での選択肢も多いです。
20代転職に強い、第二新卒エージェントneoやジェイックなどにも相談しましょう。
未経験の転職は可能ですか?
完全な未経験は難しくなります。
以前のスキルを活かしてアピールしたり、別の職種で入社してから異動を狙ったりするなどの工夫が必要です。
それでも35歳までならまだ可能性もあるので、行動量を増やしてあらゆる方法を試したほうがいいです。
社会人10年目で2回目・3回目の転職は大丈夫ですか?
一般的に2回の転職までは、多くの会社で問題とされません。
3回目以降は、会社によってはネガティブになりますが、気にしすぎても仕方がありません。
転職回数が増えたときは、応募先を増やしたり、外資・IT・ベンチャー企業など転職回数をあまり考慮しない会社に応募したりするのがいいでしょう。
個人的な経験
自分は20代後半に、自力で探した会社に転職をしました。
規模の小さい会社だったこともありますが、企業の調査が甘く、十分に会社や仕事のことを把握せずに転職してしまいました。
結果としては、週の半分程度をアルバイトの手伝いのようなことをしなくてはならず、3ヶ月で退職しました。
その後、同じ失敗をしたくなかったので、転職エージェント経由で、自分でも会社の評判を調べて、別の会社に転職しました。
まだ20代後半の時期だったので、致命的にはなりませんでしたが、30代になっていたら苦労していた可能性があります。
必ず活用したいサービス
この経験から、ミスマッチを防ぐために、2つほど必ず活用してほしいサービスがあります。
- リクルートエージェントやパソナキャリアなどの転職エージェント
- Vorkersや転職会議など会社の口コミサイト
自分でも面接官に話を聞いたり、実際に働いている社員に話を聞いたりはできますが、自分以外の人の意見も知るのは大事です。
どちらのサービスも、会社の内情に近い情報が手に入るので、僕のような失敗はかなり防げるかと思います。
さらに知っておきたいこと
ここでは、社会人10年目の転職ついて見てきました。
30代前半であれば、まだまだ選べる選択肢は多いです。
基本を押さえて将来、後悔しないようなキャリアを歩んでいきましょう。
ほかにもキャリアや30代に関するコンテンツがあります。こちらも合わせてどうぞ。