ここ最近のメディアの話が非常に面白い件

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最近のメディアの話が面白い。コンテンツの話、メディアの話、プラットフォームの話など様々なレイヤーで議論が進んでおり、色々な仮説は出てきているが、明確な解は出ていない。せっかく色々なメディアに近い仕事もしているので、整理がてらメディアに関して書いていきたい。(※超長文注意)

なぜ今、メディアの話が面白いのか

紙からネットへの移行

これまで、手紙であったり、電話であったり、ゲームであったり、多くのものがネットの進化と共に他のものへ代替されてきた。そして、その影響が本や雑誌にも出てきている。出版市場に関していうと、1997年をピークに縮小しており、その時点で既にネットの影響があったのは間違いない。ただ、近年これまで雑誌が担っていた領域を明確に代替するメディアが出てきた。特に影響が大きかったのは、スマホ化とソーシャルの流れである。隙間時間に読めるコンテンツ、簡単に他の人にシェアできるコンテンツにアクセスが集まるようになった。出版社や新聞社などの既存のプレーヤーはネット対応を進めており、新規のプレーヤーはこれまでに無かった手法で新しいメディアを立ち上げている。

コンテンツマーケティングの浸透

上記は主に出版やメディア企業への影響だが、それ以外の企業にとってもメディアやコンテンツの重要性が増した。コンテンツマーケティングという新しいマーケティング手法が注目されているためだ。これは簡単にいうと、コンテンツを使って顧客を獲得したり、エンゲージメントを高めたりするあらゆるマーケティングを指す。具体的には自社メディアやメルマガ、LP、セミナーなどが含まれる。この背景には、今まで一定の効果があったマス向け広告の効果が落ちていることと、WEBで検索ロジックの変化などで今まで以上に良いコンテンツが評価されるようになったためである。こうした中で、コンテンツを使い、今まで以上に明確にターゲットを定め、適切なコンテンツでアプローチする重要性が増してきた。

振り返りの時期

ここまでの話は、ここ数年にわたってずっと言われ続けている。それにも関わらず、メディアの話が今面白いと僕が思うのは、上記の流れが今始まったからではなく、今までの施策を振り返り、改善するタイミングが今だからである。情報リテラシーの高い企業は、メディア企業であれば、ネットの施策を拡充し、非メディア企業は、とりあえず自社のメディアを作成し、コンテンツを充実させた。そうやって手探りで進めてきた施策に関して、振り返りの時期を迎えており、一定の仮説(少なくとも筋が悪い方法)が見えてきたのが今のタイミングだ。そもそもやる意味があるのか、やり方が悪いだけなのかといった論点を各社が考えている。

次に、多くの変化がある中で、何が変わっていて何が変わらないのかを見ていきたい。

変わらないこと

編集が必要

メディアには編集が必要だということ。当たり前だが、闇雲にコンテンツを集めたり、作ったりしてもメディアはできない。独自の切り口も無く引用コンテンツを集めてきた会社のほとんどは一瞬で消えていった。むしろ、コンテンツの表現手法も流通経路も多様化する中で、編集の重要性は増していく。詳細は変わることの方に書きたい。

読者に届く必要

読み手に情報が届く必要があること。これも当たり前だが、読まれないものはメディアではない。最近、見たバクマンの映画でも「漫画は読まれて始めて漫画なんだよ」と主人公のおじさんも言っていた。WEBでは、今までよりもはるか簡単にコンテンツを公開することができるようになった。その一方で、コンテンツが溢れ、コンテンツは競争に晒されやすくなっている。ユーザーへの届き方も様々である。そんな中、適切な読者にコンテンツを届けることが改めて重要になっている。

読者にとって価値あるコンテンツが必要

読み手にとって価値のあるコンテンツが重要であること。当たり前のことばかりで恐縮だが、これもますます重要性が増している。オンラインのメディアが増えると使えるフォーマット(動画やインフォグラフィックなど)が増えるので、注意をしないと読み手が置いていかれる可能性もある。動的なWEBサイトが流行った時期を思い出して欲しい。やたら表現はリッチで確かにかっこいいのだが、肝心の欲しい情報が全然どこにあるのかがわからなかった。読み手視点があることはいつの時代も重要だ。

変わること

マネタイズを考える必要

紙と違い、ウェブコンテンツにはお金を払う文化があまり無い。雑誌にお金を払う人はいてもWEBメディアにお金を払う人は少ない。紙の本を買う人でも、電子書籍を買うのをためらう人も多い。最近になり、少しずつ広告に依存しないマネタイズも出てきたが、試験的な運用に留まるもので、成功例も多くは無い。現状は、1pv1円以下のアドネットワークともう少し儲かるネイティブアドで収益を得ているところが大半だ。その収益率はあまりよくないので、直近での勝ちパターンは、低価格でそれなりのコンテンツを量産し、アクセスを稼ぐことになる。つまり、食べログのように無償でユーザーから投稿してもらう、meryとかみたいに安い報酬で記事を書いてもらう、そうして集めた大量のコンテンツをベースにマネタイズ(お金を稼ぐ)するものが流行る。そこで、安い報酬でもちゃんと書けるように他サイトのコンテンツからの引用(酷いときにはパクり)や定型フォーマットの作成が進む。低価格×中品質×大量のコンテンツを作るというゲームになる。(現状はなっている)

 アマチュアの書き手も使う必要

上記の流れを踏まえると、安い報酬で書く経験の浅いライターが増えていく。今まで編集者は限られた紙面に最も良いコンテンツを載せるべく、コンテンツを企画したり、コンテンツを作ったり、改善したり、取捨選択したりというものだったかもしれない。もちろん、そういったものは今後も変わらない。一方で、それに加えて、プロでないライターが一定の記事を書けるように引用ルールを作ったり、変な記事にならないようにフォーマットを作ったり、ミスを自動的に検知できるようにシステムを作ったりということも編集の仕事になる。

 読み手へのどう届けるかも設計する必要

WEB時代の情報の届き方は今までと異なる。新聞をイメージして欲しい。新聞の場合には、新聞に記事が掲載され、それが自宅に配送される。新聞記事の場合、それを別の新聞に載せることは無いかもしれないが、WEB上の記事の転載は珍しくない。記事単位で行うこともあれば、サイト同士で提携していることもある。1つは、掲載場所のパターンが増えることだ。もう1つはコンテンツの流通経路である。お気に入りなどから直接行くパターン、検索するパターン、ソーシャルで流入するパターン、他のサイトからのリンクで行くパターンと様々ある。決められたところに掲載され、決められた経路で、決められた相手に届けるときと異なり、全て設計する必要がある。それぞれのチャネルに対策するために、ソーシャルでバズるタイトルで作成した後に、しばらく経ってから検索用のタイトルに変えることもある。今までのように1つ1つの文章に向き合う時間は減るかもしれないがそれ以外の要素は格段に増えるだろう。コンテンツを誰にどういうフォーマットで書いてもらい、どこに載せ、ユーザーにどうやって届けるかを考える必要がある。そして、ユーザーに求められるコンテンツは変わり続ける。

では、上記の変化を受けて現状のプレーヤーの動きと論点を見ていきたい。

 各プレーヤーの動向

コンテンツを届けるサービス(流通)

古くはポータルだったり、その後は検索だったり、ユーザーにコンテンツを届けるサービスは様々ある。最近でいうと、グノシー(gunosy)とかスマニュー(smartnews)のように、その人の興味に合わせて情報を届けるようなサービスが出てきている。1人で、2つ以上のサービスを使うことが考えにくく、広告合戦で露出勝負になっていた。最近は、成長も一段落したように見えて投資家からの期待は一時期より落ちている。これまではアドネットワークや動画のネイティブアドなど主に広告面での変化が多かったが、直近では独自コンテンツも作るなど差別化を図っている。出版業界で取り次ぎが本を作るのはありえないと思うのだが、ネットではプラットフォーム側からメディアになる流れが進んでいる。別の業界でいうと、アメリカの動画配信プラットフォームのネットフリックス(Netflix)も流通を抑えた後にオリジナルコンテンツを作ったりしている。

 コンテンツを表示するサービス(メディア)

メディア企業に関しては、日経新聞や東洋経済など老舗のメディアとは別に、雑誌のリプレイスとしてのキュレーションメディアやバイラルメディアなどの新しいメディアが生まれた。それぞれの定義は様々あるのだが、前者は主にWEB上の情報を集めて、編集し、コンテンツを生むというコンテンツ制作手法を使ったメディアを指し、後者はソーシャルによってバズらせるという流通戦略を取るメディアを指す。このような新興メディアは、先に述べたようにマネタイズが難しいため、コストを抑えて運営をしている。成功例としては、アメリカのBuzzfeedが有名であり、ネイティブアドだけで年間1億ドルを超える売上を出している。他の新興メディアもクオリティにこだわったり、様々なプラットフォームに最適化したコンテンツ作成をしたりと様々な工夫を行っているが、現状は十分な収益を上げられていない。新しいマネタイズとして、一部のメディアは読者からの課金を行うなど広告に依存しない収益を確立しようとしているが、スケールするかは正直わからない。現状は圧倒的な規模にまで拡大し、広告で儲けるか、コマースなどに流すかは常々議論に上がっている。メディアとコマースの融合事例としてhouzzがよく挙がるのだが、それ以外の例はまだ多くは無い。2015年現在、多くのメディアが立ち上がっており、それぞれ資金調達をしているが、明確なマネタイズが見えていないものも少なくない。

 コンテンツを表示するサービス(非メディア)

非メディア企業は、自社のメディア(オウンドメディア)を主に自社のリード獲得や既存顧客のエンゲージメントを目的に運営している。ここも難しい局面を迎えている。そもそも何となく周りに合わせて始めたり、代理店に言われて始めたりしたところも少なくない。そうした会社では、更新自体が止まったり、更新はしているが、今後どうしていくかが見えていなかったりする。正しく理解せず、明確な目標も無いことが失敗パターンとなっている。もう1つの課題はリードタイムだろう。メディアの立ち上げは1ヶ月、2ヶ月で直接的な成果が上がるものではないのだが、その割には最初に手間がかかる。月次、四半期の単位で結果を求められる企業にとっては無視できない長さになっている。国内でうまくいっている例はLIGだが、LIGも何年もかけて今の状態を達成している。

 コンテンツを届け、表示するサービス(Newspicks)

Newspicksはカテゴリーを切るのが難しかったため、独立して説明したい。特定の記事にコメントをつけられるサービスである。ツイッターと同じようにアカウントをフォローすることでその人のコメントを追うことができる。どの記事にコメントをつけるかという時点でキュレーションの機能を果たしていると同時に、キュレーションされたものに対するコメントももはや1つのコンテンツになっている。通常、こういったサービスが拡大するとよくわからない人が増えて、コンテンツの質が下がり、人が離反していくのだが、それがあまり起きていないように見える。経済ニュースが多いために、そもそも使っている人がスクリーニングされていることも大きそうだ。Newspicksはオリジナルコンテンツを強化しており、一部の記事は有料会員にしか見られないようにしている。スケールするのかはわからないが、メディアの1つの生き残りの方法として注目されている。今更ながら、はてブに似ていることに気付いたのだが、はてブでは人をフォローするというよりは、多くの人がブックマークしているものを見るという感覚だ。食べログとRettyの違いだろうか。

長くなりすぎて収集がつかないので、最後に自分が思うことをいくつか挙げたい。

今後の流れ

CGM化はどのメディアにおいても鍵になる

個人的に推している未来は、アマチュアの活用(プロライターでは無い人)が紙出身のメディア含めたメディア企業全体として重要になってくるというもの。これには複数の理由がある。1つ目には、制作費の下がる世の中において経済的に必要になるという理由。2つ目には、紙面の制約が無い世界においては記事の量を増やすこともある程度重要になるという理由。3つ目には、質の面においても素人が勝つ事例が一定出る(出てきている)という理由からだ。1つ目、2つ目に関してはこれまでに触れている通り、マネタイズが見つからない世界において制作単価のコストは現状やむを得ない状況だ。3つ目に関しては、newspicksの佐々木さん書いているのだが、プロのライターで無くとも現場で頑張っている人の記事が面白いという話がある。

− 佐々木氏「書き手としてプロではなくても、各分野の最前線で活躍している方だと、具体的な内容が記事になるので良いですね。現場で仕事をしている方が望ましいです。スタートアップなどの起業家や経営者、海外で活躍するビジネスマンや女性が書く文章は面白いです。 

ニコニコ動画を見てもそうではないだろうか。もはやプロとアマチュアの境目が限りなくわかりにくくなっている。ボーカロイドなどでは、最初は素人として曲を作っていた人がいつの間にかCDを出しているような状況もある。記事単体からの大きな報酬を得ることは難しいかもしれないが、少しずつ実績を積んで、より価値のある仕事を得ていく人も増えていくように思う。

ユーザーコミュニティーは無視できない

上記とも少し関連するが、メディアとユーザーの距離感が変わると考えている。寄稿という形でより積極的に参加したり、ある記事をシェアしたり、コメントしたりとユーザーとメディアの距離がより近いものになる(なっている)だろう。特に、セグメントされた領域においては、コミュニティーが形成される。実際、サロンのようなビジネスも出てきているし、一部のメディアを見ていてもコンテンツ課金というよりはコミュニティーの月謝に近いような印象を受けるものもある。いくつかの海外メディアの課金を見ても、その姿勢に共感したり、応援したりする目的でのものが出てきている。ユーザーとの関係性に課金するようなイメージだ。これは僕自身、ニコニコ動画のプレミアム会員だった時期があるが、そのときの感情が近い気がする。正直、そこまで観たいものがあったわけではないが、ニコニコ動画のコンセプトが好きで、課金していた。また、その他のサービスは使わなくなったときにすぐ解約していたが、ニコニコ動画だけはしばらく会員のままでいた。ユーザーとの距離感をコントロールし、いかにファンにするかは重要になりそうだ。

ユーザー体験の設計が鍵になる

抽象的で申し訳ないのだが、そもそもの体験を変えることが重要だと考えている。キュレーション、バイラル、インフォグラフィック、動画など様々な手法が出てきたものの、ユーザーとしての体験を変えるものはそこまで無かったのではないか。確かに、スマホで読むことが増えたので、写真中心のメディアが好まれたり、検索も面倒なのでキュレーションが好まれたり、理解がしにくい事実に対してのインフォグラフィックも好まれたりはしている。一方で、こうした手法は以前からあった。それがエロサイトだったり、ゴシップ系のネタばかり集めているサイトだったりしただけの話だ。動画も注目はされているが、まだどうなるかはわからない。個人的には、スマホで食べログを見ているときに表示されるc-channelの動画は邪魔すぎるし、通信量を無駄に消費する動画広告もやめてほしいと思っているくらいだ。WEBならではの体験を提供できるかどうか、いかに提供するかが鍵だと思う。WEBならではの表現というものが何になるかはわからないが、体験として違うものを提供できるかが重要になりそうだ。

以上、最後まで読んでいただいた方には感謝申し上げたい。

 

Mohi

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