日本の成長戦略を攻めと守りに分けて考える

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背景

インドネシアに来てから経済成長について考えることが多くなった。その1つの理由が給料だ。インドネシアでは最低賃金が毎年10%程度上がっていく。そんなに上がるんだと最初は他人ごとに思ったのだが、自分に当てはめてみると恐ろしいと感じた。例えば、僕の初任給は2011年の時点で30万円だった。これが2017年現在も変わっていない。もしこれがインドネシア並みに成長したら53万円になる。こう考えるとそのインパクトは恐ろしく大きい。日本では10年前、下手したら20年前の給料と今の給料を比べられるかもしれないが、インドネシアの場合には、3年違うともう全く異なっている。もちろん、成長が全てではないし、既に国として豊かになっていること自体は良いことだと思う。一方で、今日よりも明日が良いと信じられる世界はやはり素晴らしいと思えるので、少し考えてみた。

守りの戦略

これはものすごく世の中の流れと逆行するかもしれないが、ありとあらゆる日本に対する参入障壁を上げると良いのではないかと思っている。いくつかに分けて話したい。

外資への規制

企業に関して、これは非常に限られたWEBサービスの例であるが、日本のマーケットが海外に取られているものが非常に多い。例えば、Google、Facebook、Amazon、Twitterなどは日本にできる限り法人税を納めないように運営されており、マーケットが奪われている領域の1つだ。オンラインの検索・ソーシャルを奪われ、小売や決済領域すら海外に取られそうな勢いになっている。最近の例では、airbnbなども民泊のシェアで圧倒しているが、airbnbに至ってはもはやアメリカのプラットフォーム上で、中国人や韓国人が日本に来る中国人観光客などに家を貸しているという日本人が全く介在しない形で国内で利益を得ている。以前、Yahooが参入したときは法的な確認が甘かったにせよ、数日で撤退したにも関わらず、外国企業は実はやりたい放題だったりする。それを逆に利用したのがFC2なのだが、日本人や日本企業だと不利になるということすら発生する状況は変えなければならない。

以前は、自由競争を信奉していたのだが、ここまで多くの分野でシェアを奪われるくらいであれば、中国のようにある程度の規制をしてしまうことすら一つの選択肢としてはありなのではないかと思う。多くのピュアなオンラインサービスはシリコンバレーで生まれ、世界に広がっていく。現状、ほとんどの国ではそれに対抗できないし、日本も同じくらいの生態系を持てるようになるにはまだまだ時間がかかると思う。その状況を踏まえて、外国企業の事業に一定の制限を加えることはもはや容認していいのではないかと思っている。結果として、中国ではweibo、we chat、タオバオ、ali payなど巨大なサービスを生み出すことになった。もし規制が無かったら海外サービスにかなりの部分を奪われていたことは想像に難くない。

外国人の受け入れ規制

最近、特に都心のコンビニでは外国人が非常に増えてきた。ある時間帯にレジの人が全員外国人だということも珍しくない。彼らは、日本人が嫌がるような小売店や飲食店のバイトを行っている。今はまだ日本人雇用に影響が出るレベルにはなってないが、彼らが増えて行けばどこかのタイミングで一部ではあるものの、日本人の雇用を奪っていく可能性が高い。ここのコントロールをしないと、モチベーションが高い外国人が徐々に仕事の幅を広げていき、日本人が今やっている仕事を奪っていく可能性があると思っている。本来的には、優秀な人を国籍に関係なく登用していくのは理想的だと思うのだが、これができる企業が少なすぎる。取締役の女性比率さえ、非常に低い状態でいきなり外国人というのは心理的にも残念なことに非常にハードルが高くなってしまっている。

英語は今のレベルを守る

上記にも関連するが、英語を多くの日本人が話せるようにしないことが重要だと思っている。よく日本人は英語を喋れないと外国人から揶揄されるが、現状、日本語という習得しにくい言語と英語が話せない日本人というのは参入障壁として非常に機能している。僕は外国人で日本で成功したような起業家をほとんど知らない。他の国においても難しいのは同じなのだが、大卒や一定の学力・学齢以上の人でも喋れないというのは他の国と比べても圧倒的だと思う。(インドネシアでは日本でいう年収800万円程度の人はほとんど全員喋れる)もちろん、海外に進出する役割を担う人たちには必要なのだが、それ以外の人たちは現状のレベルにする方がもはや合理的だと思う。

攻めの戦略

メーカー以外の海外展開

守りの戦略で日本マーケットを確保しつつ、海外に進出していく。メーカー系は元々の商品のクオリティで勝つことができたかもしれないが、自動車やカメラ以外の多くの分野で競争力を保てていない現状を踏まえるとメーカー以外でも勝てる仕組みが必要になる。そう考えると現地におけるマネジメントやマーケティングなどの能力を上げる必要がある。これをやっているのが日本だと商社になることに30歳を目前にして気づいたわけなのだが。(ちなみに、華僑やその他の日本人以外の場合はある程度のノウハウが集まると自分で独立してしまうので、商社のような仕組みは作りにくいとのこと。)そう考えると、商社は日本人の特性を活かした素晴らしい組織なのかもしれない。最近、周りでも商社を退職する人が多いのだが)この役割が商社に集約されるのが良いかわからないが、このような海外展開を推し進めていく活動が必要とは強く思っている。

メーカーの海外展開

これも同じような流れになるのだが、自分の観測範囲において、誠に残念なことに、海外に行っている人間が海外展開に必要な能力を持っていないケースが多い。これは人材配置の問題ということ以上に、そういう人間の絶対数が少ない。IT企業で海外展開をやっていたときもそうだが、その部署のほとんの人がその海外展開の経験が無かった。だから仕方なくそれに関連した、英語が話せるとか、元々の会社のビジネスをよくわかっているとかそういう人がアサインされるのだが、なかなか厳しい。そこでの失敗経験を次に活かせればいいのだが、例えば今この瞬間でいっても、日本のIT企業で海外展開をしているような会社は何社あるだろうか。パッとメルカリくらいしか思い浮かばない。少し求人を調べればわかるのだが、ほとんどない。商社などは社内で調整をしているが、それ以外では構造的に人が育つ環境ができていない。

グローバル人材育成

ここだけを書きたいがために、この記事を書いてきた。グローバル人材という言葉は非常にあいまいなので嫌いなのだが、わかりやすいので使いたい。世界のどこにいてもビジネスのできる人間をイメージしてほしい。大前研一さんが前にどこかの記事で書いていたが、「マレーシアの工場で着任の挨拶と今後の方針を英語で説明できるか」といったことを実際にできるような人間だ。海外においてレイオフや大手企業とのアライアンス、カンファレンスでのスピーチなどを問題なくこなせる人だ。これにはかなり幼少期からの環境が影響を与えるだろう。日本は言語も民族も文化も多少の違いはあるものの、他国と比べるとほとんどない。アメリカに行けば、チャイナタウン、コリアタウン、リトルトーキョーといった非アメリカ人のコミュニティがあるし、インドネシアに来ても人口の9割程度を占めるムスリム以外にも多くの宗教や文化を持っている人たちがいる。言語も現地語が使えず、英語でしかコミュニケーションを取れない人たちもいる。そして、こういった環境にいることが非常に強みになる。つまり、異なる言語、民族、文化の人たちと関わり、可能であればリーダーシップを取ったような経験が必要になるのではないかと思っている。

既に様々な施策が行われており、大学生向けに行われているトビタテ!留学ジャパンなどは素晴らしいと思っている。様々な国でパフォーマンスを発揮するには人生の早い段階、できれば10代、遅くとも20代には経験があった方がいいのではないかと思っている。それも短期間の留学というよりは実際にそこで住んだり、生活するような経験が極めて重要だと思う。僕の周りにはそんなバックグラウンドの人たちがちょくちょくいる。3つ以上の国で住んだり、働いたりしていたような人だ。

僕と同じオフィスにはインドネシアで生まれてシンガポールで育ち、オーストラリアの大学に行き、そこで何年か働いてからインドネシアで起業している人がいる。(彼にどこの国を一番、故郷だと感じるかと聞いたらシンガポールだと言っていた。)同じように、インドネシアで生まれてからアジアの国を転々とし、シンガポールで働き、インドネシアで今起業している人にも会った。彼はほとんどインドネシア人だが、インドネシア語があまり話せず、今も練習しているらしい。前にインターンしていた人は、中国人だったが、オーストラリア、日本、アメリカで育っていて日本語も英語も中国語も話せた。

このように幼少期にどこかの国で暮らしているとそこの国でのビジネスが心理的にもやりやすくなるだろうなと思った。そのために大学以前に海外に留学させたり、インターンさせたりといったことができないかということを最近、考えている。日本に様々な国から人を呼ぶというアプローチをしているプログラムもあるのだが、あくまで海外市場を取りに行った方が良いと思っているので、海外に行き、生活レベルで慣れることがより良いと思っている。これを国がやるべきかどうかは非常に悩ましいのだが、中学~大学くらいの時期に海外に行く経験は非常に良いと思う。受験の流れに差支えのない時期にカジュアルに送れたりできないかなと思っている。

ポジティブな流れとしては、海外大学を検討する高校生が増えているようだ厳密にいうと親や環境の影響力大きいと思うので、それだけ危機感を持っている人たちが増えているのかもしれない。これがマジョリティになるとは思わないが、一定数は海外を検討する人たちも増えてくるだろうなと思う。大学が海外である必要があるとは思わないが、人生のあらゆる場面において海外に行く選択肢があることは素晴らしいと思うし、その結果としてより海外で活躍したり、外貨を獲得する能力のある人も増えると思う。個人としても国としても人生の早い段階において海外経験を促進・奨励した方が良いと思っているお話。

 

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