変わりつつある出版業界と未来

Share on Pinterest
There are no images.
Share with your friends










Submit

デジタルになって何が変わるのか。結論から言うと、前回見たようなプレーヤーや制度に関してほとんど変わらなかった。取次が無くなる、書籍の価格がより自由になる、紙の書籍が買われなくなる等、電子書籍に関して多くの意見があったが、その多くは現実にならなかった。今回は変わると言われていたものがなぜ変わらなかったのか、また実際には何が変わってきているかを記したい。

変わらなかったこと

1.取次は無くなる

・金融機能の担い手

取次は物流機能を担っていると言われているが、もう1つ大きな役割として新刊に対する出版社への支払いや書店からの集金など出版社の金融機能と言えるような役割を担っている。したがって、売れるものが紙だろうが、データだろうが、集金の手間等は発生し、それを出版社が担いたくないため。

・電子で増える業務の担い手

自ら書籍を電子化したことがある方はわかると思うが、紙のデータを電子化するのは非常に手間がかかる。高いクオリティで本をスキャンすると1冊数百MBの大きさになるし、何か間違いがあったりしたら1つずつ手動で直す必要がある。また、電子書籍のビューアも多くのデバイスに対応したものが必要となる。もちろん、それは出版社が自分で作るのも書店それぞれが作ったものを1つ1つ確認するのも手間になるわけである。

2.書籍の価格は自由になる(安くなる)

電子書籍の契約として大きくエージェンシーモデルとホールセールモデルという2種類のいずれかの方式が取られている。前者は出版社が価格を決め、後者は書店が価格を決めるというものである。アメリカではホールセールがメインで、アマゾンが大幅な値下げにより、シェアを拡大したが、日本の場合は出版社が価格決定権を持っていたいために、エージェンシーモデルがメインになっており、紙に比べて電子がやや安いというレベルである。(ゆえに普及しづらい)

3.紙は買われなくなる

初回で見たようにそもそも出版市場自体がインターネットの普及に伴い、下落し続けており、さらに電子書籍の市場も小さくカテゴリーが偏っており(その大半がBL,TL,エロ等)、今のところは紙に深刻な影響を与えることが無さそうである。今後も懸念されるほどのカニバリゼーションが出てくるのかは個人的に疑問でもある。

上記のようにほとんどのことが(残念なことに?)変わらなかったのが、新しい流れも出てきていないこともない。

変わったこと

1.新しい収益源

今まではユーザの購買に対し、1冊いくらという形で収益を得ていたが、電子書籍を広告を載せた上で無料で公開し、広告収入を得たり、1日30分程度までを無料にし、それを超えた場合にはユーザがお金を払うことでさらに読むことができるというゲーム的なユーザ課金など新しい収益源が生まれている。(もちろんマーケットはまだ非常に小さい)

2.作品(作家)の多層化

これも直近というよりは少し前くらいからだが、ウェブ漫画のプロダクションやエブリスタのような漫画投稿サイトなどいわゆるアマチュアが作品を公開できる場が増えてきた。AmazonでもKDP(Kindleダイレクトパブリッシング)という誰でも自分の書いた作品を販売できるようなプラットフォームが出てきている。今まではコミック誌で連載のあるなしにより大きく分かれていたのが、より多様なレベルで著者が作品を公開することができるようになってきている。

3.著作権のあり方

そもそも著作権は作家が持っているものだが、今までは契約により作家が出版社に出版権を許可して出版されていた。ただ、これが電子になったときに以前の契約では電子配信に関する規定が無いため、別途契約を結ぶ必要があったり、違法サイトに対しての法的措置が出版社は取れなかったりするため、電子書籍にも出版権が認められるよう著作権改正の動きが出ている。

作家の人達によっては、自らのプロダクションを作ったり、エージェントを通してそうした権利を管理している場合もあるが、多くの作家の人達には作品を書くことが好きでそういった権利などに無頓着であったり、ともに作品を作り上げた出版社の編集の人達に対する配慮から法律とは関係なく、出版社任せな人達もいるため、法律だけに規定されるわけではないのところが難しい。ただ、確実に作家が自らの権利に対するリテラシーを高めるような流れになっていくのではないかと個人的には思っている。

今度はどう変わっていくのがいいのかを考えたい。

 

Mohi@Day10

Share on Pinterest
There are no images.
Share with your friends










Submit

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です